本棚オーナーさんinterview|本棚探訪

神話に古典に脳科学‼

バラバラに見えて実は…
さまざまな源流を探究する本棚

本棚オーナー 《44》番地 manaさん

「人と人をつなげる場をつくりたい」という館長の想いに、「不特定だけど、自分が気になる人と繋がれる場所があったらいいな」と共感。「ここがどう発展していくのかを見たいなっていうのもあって。ぜひ応援させてくださいという気持ちで本棚オーナーになりました」という44番さん。
脳科学の本から、神話や古典、子ども向けの絵本など多彩なジャンルの本が並ぶ本棚について、じっくりうかがいました。

「人ってなんだろう?」と考えるきっかけになった本


本棚には、自分が大事にしている本を並べています。自分自身をつくり上げてきた本でもあるし、自分が大事にしている気持ちの根底を表している本です。どれが1番大切とかあるわけじゃなくて、自分の中では全部つながりがあるんですよ。

本棚の中で1番最初に出会ったのは、奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき』(ジル・ボルト・テイラー 訳:竹内薫/新潮社)。著者は脳科学者で、ご自身が脳出血を起こし、リハビリをして復活した経験から、右脳と左脳の違いを体感し、それについて書いた本なんです。
私も脳外科で働いていた経験もあり、楽しく読みました。自分が学んできた看護の知識と違ったのが衝撃的で、そこに面白みを感じて 「人ってなんだろう」「人の脳ってどうなっているのかな」って探究が始まったんです。

その次にひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記』(ジョン・エルダー・ロビンソン  訳:高橋和子 /早川書房)を読みました。これも実話で、著者はアスペルガーの方です。彼の職業は、音響システムエンジニア。アスペルガーの個性を活かし、音に関するスペシャリストで海外の有名なシンガーたちの音響を任されているんです。だけど、「音楽の美しさやよさ」は一切感じることがない。でも、この音がずれているとか、そういうことはもう抜群にわかる。だから、音響スタッフとして社会的に成功しています。
ある日、自分がみんなと何か違うっていうことに気づいて、アスペルガーっていう診断がついて、脳の治験を受けることになるんです。で、その治療を受けた数時間後に 聞こえてきた音楽を聴いて、初めて感動し涙を流した!!!という、本当にあったお話。
この本を読んでさらに「人ってなんだろう? 意識ってなんだろう?」ということが、ますます知りたくなりました。


脳科学の本を読んで「自分って何かな?」と考えるようになり、自分を見つめるようになったんです。そこで、自分のルーツを知りたくなり、掘り下げたら、日本の歴史に辿り着きました。大人になって学ぶ歴史が、すごく楽しくて。


歴史について何も知らなかったので、まず古事記の話から入ろうと、読みやすそうな五月女ケイ子のレッツ‼︎古事記』(五月女ケイ子 /講談社)を選びました。シュールでかわいいイラストを描く五月女ケイ子さんが、古事記についての本を出していると知り、探し求めました。えっ、古事ってこんなにユニークな話だったのかって、とにかく面白くて。ふざけているようでちゃんとした内容です(笑)。
以前から神社巡りが好きなんですが、この本を読むと神社の神様についての知識が深まって、神社に行った時に、「この神様がなんでこの神社とご縁があるんだろう?」とか考えたりするのがすごく面白くて。神社が好きなのは、自然が大好きだから。神社に行くと気持ちが気持ちよくなるし、緑を見られるでしょ。神社があるから、日本にこれだけの森が残っているのは神社があるからだって気づいて。


南方熊楠さんが、神社の森を壊してはいけないって神仏合祀反対運動を行ったおかげでここまで自然が残ったんだと思います。熊楠コレクション 南方マンダラ』(南方熊楠/河出文庫)も棚に並んでいます。



「方丈記 鴨長明」って学生時代に覚えるじゃないですか、それが現代でも読み継がれていてベストセラーになっている。それはなぜかを知らないから、ちゃんと読もうと思って、でも、ちゃんと読めないから、漫画にしようと日本最古の震災文学 漫画 方丈記(鴨 長明 漫画:信吉/文響社)を手に取りました、子どもでも読めるしいいなって思って。
古典を読んでいくと「日本の昔の精神性 ってなんだろう?」と考えだして、古武道を習い出したんです。古武道は、合気道など武道の源流。今流行りの筋肉をつけるとか、そういうのではありません。自分を鍛えるのが目的なんです。とにかく、気になることがあると源流を探りたくなるんです。

どんな方が本を取ってくれるのかなっていうの、すごく気になりますね。「どういう思いで、この本を手に取ってくれたのかな? 」って。
他の本棚のオーナーさんの本を見ても、結局つながっているんじゃないかなって思う時があるんですよ。なんとなく、 あれ、この棚とこの棚、この本でつながっているね。みたいなのがあったりして、それがすごく面白くて
本当にこの場所自体が流動的で、生き物みたい。たぶん、ずっと同じっていうのはなくて、 本棚オーナーさんが変われば、つながりも変わってくるんだと思います。
でも、いつでもここに来れば安心できるって場所を館長が、つくってくれるんじゃないかなって思っています。




*取材 わかちゃん(本棚オーナー87番)
*構成 ひーさん(本棚オーナー42番)

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